自転車のフレームとパーツには数多くの規格が存在します。これらの中には、古い規格で今は廃れて
しまった規格、古くから引き続き現代でも使われている規格、自転車の進化とともに現れた新しい規格、
があります。
ここで取り上げている規格は、ボブジャクソンその他、クロモリやマンガンモリなどのスチールフレームで
自転車を組む際に必要な規格で、古くから存在している規格を中心に記載しています。
主にロードやランドナー・スポルティーフなどのツーリング系とピスト向けの規格なので、MTBやBMX
その他の車種には当てはまらない規格が多いのでご注意ください。
また、アヘッド規格その他の比較的新しくできた規格も、詳しいWeb siteが他に沢山あるので省略しました。
なお、記載内容は十分注意していますが間違いや説明不足がないとは限りません。パーツやフレームの
購入や組みつけ時、使用・走行の際にはご自分で再度確認のうえ自己責任でお願いします。
もし記載内容に間違いがありましたら、ご連絡いただけますと幸いです。
※表内の←は左側と同一サイズを意味します。【】内は左側の単語の別称です。
※BSC/イングリッシュ規格はBSA、French/フレンチ規格はMetric/メトリックと表記される場合もあります。
※ISO規格はBSCとほぼ同規格なので、ISO規格は記述していません。
スチールフレームチューブ【パイプ】径
BSC/イングリッシュ | JIS/日本 | Italian/イタリアン | French/フレンチ | |
---|---|---|---|---|
ヘッドチューブ外径 | 31.7mm | ← | ← | 32.0mm |
トップチューブ外径 | 25.4mm | ← | ← | 26.0mm |
ダウン・シートチューブ外径 | 28.6mm | ← | ← | 28.0mm |
※他にオーバーサイズチューブと呼ばれる、トップ28.6mm、シート&ダウン31.8mmや34.9mmのチューブが
使われているフレームもあります。
ヘッドパーツ(1インチ スレッドヘッド)
BSC/イングリッシュ | JIS/日本 | Italian/イタリアン | French/フレンチ | |
---|---|---|---|---|
ネジ規格 | 1″X24tpi | ← | 1″X24tpi | 25X1.0mm |
フレーム圧入部外径 | 30.2mm | 30.0mm | 30.2mm | 30.2mm |
クラウンレース内径 | 26.4mm | 27.0mm | 26.4mm | 26.5mm |
※BSC・JISと、Italianのネジ規格は表記上同じですが、厳密にはネジ山の角度 (BSC・JIS 60°、Italian 55°)
が異なるので全くの同規格ではありません。
しかし、実用上フィクスドカップとロックリングのネジは嵌め合いが緩め、もしくはきつめになる傾向が
ありますが兼用できる場合が多いようです(ネジの精度や交差の違いにより無理な場合もあります)。
ワンとクラウンレースに関してはBSCとItalianでは径が同じで兼用できますが、JISやフレンチは径が
異なるので兼用はできません。ご注意ください。
※フレンチの下玉押(クラウンレース)内径には27.0mmの物も存在するようです。
ボトムブラケット【BB】
BSC/イングリッシュ | JIS/日本 | Italian/イタリアン | French/フレンチ | |
---|---|---|---|---|
BB幅 | 68mm | ← | 70mm | 68mm |
ネジ規格 | 1.370″X24tpi | ← | 36mmX24F | 35mmX1mm |
ネジ方向 | チェーンリング側 逆ネジ | ← | 両側 正ネジ | 両側 正ネジ |
フレームエンド幅とハブオーバーロックナット寸法
リアエンド幅 | 110mm | 120mm | 126mm | 130mm |
旧いピスト用(現在のピストはほとんどが120mm) | 5段フリーと6段(ナロー)フリーまで使用可 | 6段(レギュラー)フリーと7段フリーまで使用可 | 現行のカセットフリーまで使用可 |
※6段(レギュラー)とは5段と同じ歯板間隔のフリーで、6段(ナロー)は7段と同じ歯板間隔のフリーです。
※128mmもありました。(126mmから130mmへの移行期)
※フロントはほとんどが100mm。しかし70年代後半くらいまでは96mm前後もありました。
(この場合リアは122mm前後の場合が多い)
※エンド幅120mmにナロー6段フリー、126mmにナロー7段フリーの場合、フレームのエンド付近形状や
ハブの胴付き寸法などの関係によりチェーンがエンド内側に接触して使えない場合もあるようです。
※フレームエンド幅とハブのオーバーロックナット寸法が違っても、±4mm程度以内であれば装着しても
問題ないようです。 (スチールフレームの場合のみ可。アルミやカーボンは厳禁)
シートポスト【シートピラー】の差込部径
25.0mm | 26.2mm | 25.8mm〜26.8mm等 | 26.8・27.0・27.4mm等 | 27.2mm |
旧いアルミフレームやコロンバスMSチューブ等用 | 旧いチネリ(〜73年まで)等 | 主に旧いフレーム、ハイテン銅フレーム、フレンチ規格チューブ、などに使用されているサイズ | 主に肉厚が厚めや薄めのクロモリやマンガンモリ銅チューブに用いられるサイズ | 一番需要の多いサイズで、主に肉厚0.7mmや0.8mmのクロモリやマンガンモリ銅チューブに用いられるサイズ |
※シートポスト径はフレームにより千差万別なので上記は大雑把な区分。装着時は必ず確認することが必要。
※オーバーサイズチューブは上記よりさらに太い径のポストを使用します。
ボスハブとボスフリーのネジ
BSC/イングリッシュ | JIS/日本 | Italian/イタリアン | French/フレンチ | |
---|---|---|---|---|
ネジ規格 | 1.370″X24tpi | ← | 35X24F | 34.7X1mm |
※BSC・JISと、Italianのネジ規格は厳密にはネジ山の角度が異なりますが(BSC・JIS 60°、Italian 55°)
ほぼ同じ規格です。
その為、実用上の互換性は嵌め合いがゆるめ、もしくはきつめになる傾向がありますが、兼用できる
場合が多いようです(ネジの精度や交差の違いにより無理な場合もあります)。
ただし、カンパのフリーはネジ山がとても精密に作られているため、兼用は不可能のようです。
※各国で他国規格の物も生産していたので、実際に取り付けの際は確認が必要です。
※表にありませんがISO規格は1.375″X24tpiで、BSCと同規格とみなしてほぼさしつかえありません。
※ボスフリーは7段までが主流でした。8段も存在しましたが主流になれずカセットフリーに移行しました。
ペダルとクランクのネジ
BSC/イングリッシュ | JIS/日本 | Italian/イタリアン | French/フレンチ | |
---|---|---|---|---|
ネジ規格 | 9/16X24tpi | ← | 9/16X24tpi | 34.7X1mm |
※日本に正規輸入されたフランス製品はJIS規格がほとんどのようですが、オークションの発達により
フランス規格も流通しているのと、フランス以外のヨーロッパ製品でフランス規格もたまにあるので
注意が必要です。
※BSC・JISとItalianのネジ規格は表記上同規格ですが、厳密にはネジ山の角度が異なります
(BSC・JIS 60°、Italian 55°)。
しかし、実用上の互換性は嵌め合いがゆるめ、もしくはきつめになる傾向がありますが、使えてしまう
場合が多いようです。
※いずれの規格も、右ペダル:正ネジ、左ペダル:逆ネジ。
バンド止めフロントディレーラー
BSC/イングリッシュ | JIS/日本 | Italian/イタリアン | French/フレンチ | |
---|---|---|---|---|
バンド径 | 28.6mm | ← | ← | 28.0mm |
※32.0mmや35.0mmもありますが、最近の製品は直付けタイプが主流でバンド止めはあまり使われなく
なりました。
※フランス製で28.6mmも生産していました。また、イタリア製でもまれに28.0mmが存在するようです。
クイルステムとハンドル
BSC/イングリッシュ | JIS/日本 | Italian/イタリアン | French/フレンチ | |
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ステムのフレーム差込部径 | 22.2mm | ← | ← | 22.0mm |
ハンドルクランプ径 | 25.4mm | ← | 25.8mm/26.0mm | 25.0mm |
※チネリのクランプ径は90年代初めまで26.4mm(実測26.2mm)の独自規格を採用していました。
※26.0mmのハンドルに25.8mmのステムはクランプ部を工具等で広げながらハンドルを差しこめば入る
場合が多いです。
26.0mmのステムに25.8mmのハンドルも使用可の場合が多いようですが、使用中にハンドルがずれる
場合は薄いシムを差し込んで対応します。
※ハンドルクランプ径は各国で他国規格の物も生産していたので、実際に取り付けの際は確認が必要です。
チェーンライン
BSC/イングリッシュ | JIS/日本 | Italian/イタリアン | French/フレンチ |
---|---|---|---|
43.5mm | 43.5mm | 43.5mm | 41.0mm |
※現在はチェーンライン43.5mmで各国とも統一されていますが、80年代後半頃まではFrenchは41.0mm、
JISは42.0mmが主流だったようです。
※チェーンラインは規格通りが理想ですが、2~3mm程度のズレは許容範囲です。場合によってはもう少し
ズレがあっても使用できますが駆動系への負担は増します。
※フロントトリプルは現在45mmが主流です。
※ピストはエンド幅110mmで40.0mm〜40.5mm、エンド幅120mmで42.0〜42.5mmが基本ですが、
変速によるチェーン移動がないので、ピスト用として販売されているパーツ同士で組むかぎり、
チェーンラインのずれは問題ない範囲に収まる場合が多いようです。
ブレーキリーチ【ブレーキアーチサイズ】
サイドプルは1970年代中頃まではロングリーチ:上端47mm〜下端57mm位 (メーカーやモデルにより数㎜
異なる)が主流。その後はショートリーチ:上端40mm〜下端50mm位 (メーカーやモデルにより異なる)が主流。
チェーン幅
5段・6段(レギュラー)用 | 6段(ナロー)・7段・8段用 | 9段用 | 10段用 | 11段用 |
---|---|---|---|---|
8mm前後 | 7.3mm前後 | 6.6mm前後 | 5.9mm前後 | 5.6mm前後 |
※同じ段数でも幅はメーカーにより微妙に異なります。
※5段・6段(レギュラー)フリーに6段(ナロー)・7段・8段用チェーンは使えますが、5段・6段(レギュラー)用
チェーンは6段(ナロー)・7段・8段フリーに使えません。